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備忘録

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2007年 10月 04日

近くて遠い国。

「長江哀歌」
山西省から妻を探しに奉節の町へ出てきたサンミン。16年前に別れたきりの妻ヤオメイと娘、どうしても娘の顔が見たい。ヤオメイが残したメモの住所に行ってみると、そこは既にダム建設のために水没していた。彼女は船の仕事で下流に行っている、という情報を信じてダム建設に伴う建物の取り壊しの仕事をしながら、妻が戻るのを待つ。
山西省から夫を探しに出てきたシェン・ホン。もう2年の間連絡が途絶えたまま。夫の友人トンミンの協力のおかげで夫が働く事務所や彼の状況はわかったが、本人がつかまらない。夫にはどうやら付き合っている女性もいる様子。翌日夫に会えたが、連絡しなかったことを悪びれる風もなく、何しに来たんだ何かあったのかと冷たい言葉しか出てこない。「好きな人ができたから、別れましょう」とシェン・ホンが言うと、夫はほっとした様子。シェン・ホンは1人上海行きの船に乗る。
李白の漢詩の描く水墨画のような風景の面影は今でも残っているけれど、猛烈な勢いで国の全てが変わっていく中国。雲がたなびく山のふもとには、高層マンション群がにょきにょきと生えて、どんどん増殖している。変化をすんなり受け止めていっしょに変われる人はいいけれど、そうはできない人もいる。
少年が流行唄を朗々と歌う。男と女のことを歌った内容と彼の幼さがとてもアンバランスで、せつない。
日々食べていくので精いっぱいの労働者たちだが、携帯電話は必需品。命をつなぐ道具なのだ。冒頭サンミンが乗っている船の上でも、幾人もの乗客が携帯電話の画面を必死に見入っていた。幻想か現実か、京劇のいでたちをした3人が食堂で卓を囲むシーンでも、彼等が手にしていたのは携帯のゲーム機。
飛行機に3時間も乗れば着く隣の国なのに、ものすごく遠く感じられてしまう。私は何もわかってないなぁ。

by atsumi-6FU | 2007-10-04 21:09 | movies


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