2007年 04月 22日
1999年シエラレオネ。反政府軍RUFに捕らえられ、闇ダイヤの採掘場へ連れてこられたソロモン・バンディー(ジャイモン・フンスー)は、巨大なピンクのダイヤモンドを発見する。そのダイヤを軸にソロモン、密売人のダニー・アーチャー(ディカプリオ)、ジャーナリストのマディ・ボウエン(ジェニファー・コネリー)の人生が交錯する。ダイヤが手に入れば、ソロモンは家族を取り戻すことができる、アーチャーは自由を手に入れアフリカから出て行ける。 何がいいって、ディカプリオ。圧巻はRUFの攻撃をかいくぐってソロモンと逃げるシーン、生死の瞬間をかぎわけ、銃弾の波をくぐり抜け、走る走る走る。決して迷わずここしか無い進路をとる。検問をくぐり抜ける時も凄い。捕虜のふりをしてソロモンの後ろに従い、相手が「白人を連れてきたのかよ(ニヤニヤ)」と警戒を緩めたとみるや、瞬時に撃つ。躊躇とか息を整える間とかそんなものは存在しない、とにかく撃って前へ進む。『好演』という言葉では表現できないくらい、ディカプリオはダニー・アーチャーだった。彼の果敢な表情を見ていたら泣けてきた、珍しいことに。 ジャイモン・フンスーも様々な表情を見せる。優しい父親だった彼が家族もプライドも奪われ抜け殻のようになってしまう。アーチャーに利用されていることはわかっていたが、RUFに奪われた息子と難民キャンプにいる妻と娘を取り戻すために、ピンク・ダイヤモンドの元へ向かう。息子を奪ったRUFの幹部を殴り殺した時のソロモンは、憎悪と哀しみで人相が変わってしまったかのようだった。彼にとって人を殺めるなんてあってはならないことだったが、抑えることができない。 紛争ダイヤモンドを扱わないというキンバリー・プロセスが制定され、ソロモンは家族揃って幸せになることができた、というところで映画は終わる。もちろん今でも闇ダイヤの取引は続いている。ソロモンの息子ディアは抜けられたが、今も消耗品扱いされている少年兵が20万、30万といる。現実はそれほど変わってはいない。それでもソロモンとマディの笑顔で映画を締めくくってしまうのが、ハリウッド映画の甘いところだと思うけれど(ディカプリオ崖っぷちのところで終わっていたら、それはそれでヒーロー映画的エンディングになってしまうが)、善悪ないまぜの現実をそれなりに描いて、見応えのある映画だったと思います。 それにしてもディカプリオ、次作がとても楽しみです(何だろ?)。スコセージ先生、「またいっしょに映画作ろうな」と言ってましたよね、いい映画作ってあげてくださいよ是非。
by atsumi-6FU
| 2007-04-22 22:46
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